2010年1月28日木曜日

"鈍い"は最強

特別養護老人ホーム。
身体的・精神的に廃絶して家庭・社会から除外された
高齢者の隔離場所・・・
きつい言い方のようだがはっきり書くとこうなる。
社会のルールと言うものがある。
その枠組みに納められない個体を隔絶する施設は
他にもあるし、社会が組織である限り、それらの施設の存在は必要だ。

高齢者介護の問題はちょつとやそっとでは書ききれないし
すこしずつ触れていくつもりだが、
今回は職員側の問題について。

施設の規模、様式によってやや違いがあるが
特別養護老人ホームとなると
実際の世話に当たる「介護職」
疾病・怪我が生じたときに対応する「看護師」
が常勤、非常勤を交えて配置されている。
そしてその医療面の統括・責任者として医師が居て
この医師はたいていの場合、「嘱託」として携わっている。
入居者の急激な熱発や怪我が起これば看護師(医務室)から連絡が入る。
その程度・状況によって投薬をしたり入院・転院の指示、手配をする。
また医師は1週間に1回程度の割合で施設訪問(回診)を行い
現場での診察、判断、相談を行っていく。

・・・・の筈なのだが・・・・・

職種は異なっても高齢者にかかわる医療従事者はおおむね4つに分類される。
①とにかくイヤイヤ型・・・・・認知症(痴呆老人)にかかわるのはとにかくイヤ。
               そういう仕事はヒエラルキーが低いし汚い。
               どうせ年寄りだし治療も何も出来ないし。
               痴呆と癌末期も同じハコに入れて逃げる。                              ↑賢いお医者さんがよくやる。
               「する事ないもん自分の仕事じゃないもん」
               が常套句だが実際は知識不足の事が多い。
               医者に限った話でもないが・・・・
②とにかくコワイコワイ型・・・嫌悪より恐怖が先立つタイプ。
               介護職・ヘルパーに多い。
               「自分の担当の時に何か事件が起きたら
               と責任をとらされる!」と思い込むあまりに
               (実際、責任なんて誰も擦り付けないのだが。
               職種によって業務内容と責任分担は
               明確に決まっているのだし。
               ただ、勤務時間に事故・死亡があると
               減給される施設があるとは聞いた事がある
               入所者の息が止まって冷たくなっていても
               「異常なし」と申し送ってとっとと帰る。
               怒られて減給されるのは次の勤務で発見・報告した奴)
               ちょっとした変動で大騒ぎをして逃れようとする。
               例)「××さんの体温が37.2度なので
                 救急車で病院に行きます!」                                  あと、疾病に純粋・原始的なタブー・嫌悪を感じるのか?
               入所老人にたまたま癌を見つけてしまい(無症状)
               「○○さんに癌が見つかったから」と正直に言ったら
               介護職に仕事を放棄された。
               触るのがイヤらしい。感染症扱い。
③とにかく治したい型・・・・・何でもかんでもすぐ検査、すぐ入院と
               騒ぎ立てごり押しをするタイプ。
               本人が痛がる苦しがるでなければ静かにして
               あげていればいいのだが主張して譲らない。
               切り札は「何かあったらどうするんですか!」
               「施設対応の限界だから入院させて下さい!」
               どうするもこうするもあなたの責任にはしないんですが・・・
               ①のイヤイヤ責任のがれと
               ②のコワイコワイが合体したようなもの。

④まともに接する型・・・・・・高齢者問題をきちんと考えて知識と経験に裏付けられた
               普通の対応と判断をしてくれる人。残念ながら少ない。

もちろん、職員側だけの話ではなく
入所者の家族にも①-④パターンがあって事態が迷走・複雑化・分裂していく・・・

で。
もちろん一概には言えず、個人攻撃をするつもりはないのだが
「トンデモ施設」「トンデモ看護師」に付き合わされる事が多々あり
かかわった方が職場放棄したくもなる場面も出てくる。

某特別養護老人ホームの主任看護師C。
以前から②+③だとは思っていた(ひょっとして①も・・・?)
何か事あるごとに勝手に採血して病院に持ってくるわ
「あの検査をしろ、この薬を出せ」と向うから指定してくる。
その判断、指定が医学的・常識的に見て正しければまだしもてんで見当はずれ。
ある時などは・・・
「××さんのおしっこが紫色なんです!」
・・・オムツの吸水基材によっては変色して見える事もありますよ・・・
そう説明したのだが電話とFAXで同じ事をがんがん報告してくる。
挙句の果てには「採血しましたから結果を見て指示を下さい!」
・・・って・・・検査かけるならばせめて検尿だろうが・・・!

こんなのは氷山の一角。
そんなトンデモ報告、ゴリ押し検査・入院依頼ばかり繰り返している。
何回も病院側から注意したが引っ込まない。
先日、私がその某施設に行こうとして重い腰を上げると
ケアマネとして関わりのあるA氏が嬉しそうに報告をくれた。
「C主任ですね、昨日、師長さんにとっちめられていましたよ」
熱発した入所者を連れてきたのはいいが
「この人、股関節を痛がっているんです!
股関節のレントゲンを撮ってください!」
って・・・聞けば外傷のエピソードがあるわけでなし関節部が腫れている訳ではなし。
39度も熱が出れば関節だって痛みますがな。
と、その時に対応した院長は胸部レントゲンだけをオーダー。
するとC主任、自分の意見が聞き入れてもらえなかったために
レントゲン室に来てレントゲン技師に
「股関節を痛がっているんです!レントゲンを取らなくていいんですか!」
と散々まとわりついた・・・らしい。
「業務妨害だ!大体、それをオレに言ってどうかなると思っているのか!」
とレントゲン技師は怒り出すわ、C主任はそれでも引かないわ・・・
現場で「・・・これはおかしい?」と思えばオーダー医に連絡して
追加、変更を示唆する事はあるし、それは正しい行為だ
(器量のない医者は怒るけれども)。
C主任、「痛がっている」→「折れているかも」→「レントゲンを撮っておかないと」
という思考ループに入り込んで譲らない。もちろん
「何かしておかないと私の責任問題になる」
「病院で検査して貰っておけばその先は病院の責任だ!」
という保身が先にたっているのは今までの行動からみえみえ。
・・・保身は誰でもしますよ・・・大切な事だ。
だけれども状態把握、判断もせずに証拠作りばかりに走られて
こっちの業務を引っ掻き回されては・・・
ついに師長がC主任を大説教。
「"あんたには看護師としてのプライドは無いのか!"まで言っていましたよ」
自分もこれまでにC主任にてこずっているケアマネA氏は
にこにこしながら一部始終を話してくれる。
「私も横で聞いていたけれど師長さん、きつかったわぁ」
と、ケアマネB氏が合いの手を入れる。
「私だったら次の日、仕事できなくなるくらいに落ち込むわぁ」
「そこまで言われて昨日の今日ですからさすがに懲りて
態度が変わっていると思いますよ」A氏。「よかったですね」
「いや・・・そうは思えない・・・」と私。
「あの人は変わるわけが無い・・・と思う・・・」

変わる、と言うのは自分が「変えたい」と言う願望や必要性を感じて初めて
「変わる」方向を向くのではないのか・・・?
怒られたくらいで「変わる」のならばとっくに変わっているのでは・・・・

ここ2ヶ月は私もわざとツンケンと接していたので(なんでこんな疲れる演技をしなくては・・・)
私に対してはかなりびくびくモンのC主任。
しかして、ちらりと回診ボードを見ると
入所者の名前の横にあれこれ薬剤名が既に書き込まれている。
(ほら、来た来た・・・。初めから自分で処方を決めているよ。
その通りの薬剤を出さないとふくれっつらして繰り返しFAX流してくるし
「別のを出してもらったら副作用が出た」まで言うんだから・・・
ちっとも変わっちゃいないよ・・・・)
しかも、本日は胃ろう挿入部が汚くて痛がる人が・・・とかぐちぐち言い出す。
見ると大した浸出液は出ておらずはっきりとした感染兆候もない。
「ちゃんと水道水か生食で洗浄して乾燥、清潔に・・・」
「それはやっています!」
そう返されちゃあ・・・私、無言になる。しかも
「12月にそちらに入院した時にチューブ交換してもらって
帰ってきたらこんな風に汚くなっていたんです!」
げっ・・・喧嘩売っているのか?
大体、うちでは基本、胃ろうを扱わないので交換なんてしないはずだが。
「本当にうちで交換したんだね?」
と低音で念を押す私。するとトーンダウン。
「12月初めにチューブ交換の予定があって××病院に行く予定が
そちらに入院になっちゃって・・・その間にしてもらったと・・・・」
とあわててサマリーをめくり始める。
おかしいだろう・・・・
「ちゃんと事実関係を調べてから報告しなさい・・・」
更に低音の声を出す私。C主任、パニック。

あまりにもおかしいので帰って病棟・事務・師長総出で確認。
「していないよ」
「うち、物品置いていないもの。するわけないし」
「大体、交換してくれってちゃんと依頼したの?」
「何も書いていないわよ」
「看護記録では胃ろう部の状態に異常はないわね」
記録だけではなく病棟看護師の記憶も呼び起こしてもらって喧々諤々。
すると・・・C主任から電話が・・・・
まず師長が応対。
「交換なんかしていない!ちゃんと依頼・申し送りはしたの!?
こっちでは感染なんて起こしていないわよ!」
と畳み掛けると「勘違いで・・・すみません・・・」とへこへこ謝っている様子。
私に変わってくれと言うので変わってみる。
「××病院に行って診てもらったらいいんですよね・・?」
「(ちゃんと清潔保持すれば治まる程度なんだよっ!
それをあんたが言わせないんだろうが。
やる事やれと言えばやったと言い張るし・・・ああくたびれた)
行ったらぁ・・・好きなところに気の済むようにぃ・・・
どっちにしろチューブ交換予定は12月だったんでしょ・・・
遅れているんだからとっとと行ったらぁ・・・・」
「チューブ交換は4月の予定なんですが××病院に行ってもいいですよね?」
・・・・はぁ?
「さっき、あなた12月初めに予定が挙がっていて
その時にこっちに入院したから・・・とか言ったわよね・・・
4月ってなによ・・・・(←爆発3秒前の超低音読み)」
「あ、別の人と勘違いしていましたぁ」
「それは勘違いじゃない!うそつきだっ!」
待っていましたとばかりに爆発するわたくし。
「今、調べたら別の人のサマリーを見ていまして・・・」
「何で前もって調べてからこっちに言わない!いつもそうだっ!
基本的な病態把握、段取り確認も出来ないでいい加減な報告ばかりして!!」
計算して怒鳴っているのだが、普段、温厚で通っている
(と言うか温厚で通してしている、筈の)私の爆発に周囲どん引き。
「きちんとした申し送りも出来ないくせに検査はこれをしろの
薬はこれを出せの!出したら出したで副作用が出たと文句ばかりつけて!
先日、師長からも言われたばかりでしょ!
ウソの報告されちゃこっちはどう判断したらいいのよ!」
「すみませすすみません(おろおろ)ち、ちゃんとやります・・・
これからちゃんとやりますから・・・変えますから、変わりますから・・・」
「変われるなんて思っちゃいないわよっ!」
ガチャン。

その後、師長が説教の追加がてらにマイルドとりなしの電話をしてくれていた。
「・・・なんであの経験年数の看護師に
基本の基本の清潔操作・概念を教えなきゃいけないのよぉ・・・」
師長もぼやく。
「施設だからとかそういう問題の前に人間性の問題ですなぁ・・・
考えない確かめない放棄しっぱなし逃げる事だけを考えている・・・」
「私と先生を怒らせたから少しは懲りたかしら?」
「いや・・・期待しないほうがいいと思いますねぇ・・・・」
怒られても怒鳴られても思考停止状態の相手には通じないだろう。
鈍くて感じちゃいない・・・が最強だなぁ・・・
周囲の人間がくたびれるばかりの状態がここ何年も続いているのだ。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1012712565
知らなかった・・・「鈍感力」ってほめ言葉なんだ・・・
いいのか世の中、これで。
鈍ったが勝ち、の構図で。







               
                         

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